デジタル技術の急速な進展と普及は、印刷環境に大きく影響を与え、よりクリエイティブな場の提供を可能とし、またそれをスピーディーかつ正確に具現化するさまざまな手法の開発にいたっています。 印刷物における色彩の再現性を管理する業務においても、これまで個々異なる入稿環境や色校正業務の中、色彩についての統一的な見解や基準があいまいなまま進んできたのが現状でした。 私ども宣美では、(社)日本雑誌広告協会が認定、採用し、カラーマネジメントのスタンダードな基準となりうるJMPAカラーを広告製版の基準値として採用、これに照らし合わせ、各種印刷物ツールの色彩管理を統一的に実現できる体制と、最新システムの機器導入を図るにいたりました。 また入稿から校了にいたるまでのワークフローも、確立。安心して顧客の要請にお応えできるデジタルプルーフをはじめとする充実の機器管理ツールを整備いたしました。 これからもより多くのデータを蓄積し、揺るぎ無い礎としてのカラーマネジメントを徹底させるため、みなさまからも屈託のないご意見ご指導をいただきたくお願い申し上げます。
株式会社 宣美 代表取締役社長 長澤勝美
1.JMPAカラーについて
2000年7月12日に開催された(社)日本雑誌広告協会と、(社)日本雑誌協会共催の第11回雑誌広告印刷セミナーにおいて、「雑誌広告のネットワーク送稿に関する技術的検証」結果の報告がなされ、新ワークフローによる雑誌広告基準カラー(Japapn Magazine Publishers Asosiation)が提案された。 その後、JGAS(Japan Graphic Arts Show)2001年の印刷総合機材展により(社)日本雑誌協会より「雑誌広告基準カラー(JMPAカラー)」として正式にリリースされた。
2.従来(現今)の印刷物に関する色承認プロセスについて
MO(Magneto Optical Disc)、カラーポジ、出力見本、データ入稿仕様書等で入稿される。従来のアナログの入稿状態とほとんど変わっていない。校了になるまでの繰り返しの出校作業は、アナログ入稿の場合と同じで、版下がMOに変わっただけ、各社の標準条件でバラバラに校正刷りを作成している。
3.CMSを利用した「JMPAカラー」による新しいワークフローについて
CMS(Color Management System)とは、同一データからの各種出力物や印刷物の色の違いを補正し、同一基準のもとで「色」を管理すること。JMPAカラーを取り入れたカラーマネジメントシステムにより、「色」の確認及び承認作業を各工程で行うことができる。 この結果、校了までの繰り返し作業の時間ロスが改善され、新ワークフローによる、「JMPA」で管理されたDDCP(Direct Digital Color Proof)や、プリンターを利用しての出力環境のもとで、一方通行的にDTPデータを流してのスピードアップとコストダウンの確立が図れる。
4.「JMPA」リファレンスキット」を「宣美」購入後~現状について
当社では、カラーマネジメントシステム構築の為に「JMPAリファレンスキット」を購入し、JMPAカラー準拠の準備作業を進め、15年9月に全て完了致しました。 このキットは、全ての工程での「色」管理チェックを可能にする為のスケールです。
5.当社の「色」管理について【其の一】
リファレンスキットによる統一的「色」チェックの部署。
・富士ゼロックス1225ドキュカラー3台
・富士(エプソンOEM)インクジェット・カレイダ
・富士スピードプルーフ
・富士ファインチェッカー
6.当社の「色」管理について【其の二】
「色見」確認の為の設備。
・ラシージャパン
モニター新設(ハードキャリブレーション機能搭載)
東館イメージング4台・中央館1台
・「色」評価用蛍光灯への取り替え。アイ蛍光灯(FLR40SN─EDL/MNU 25)色温度5000°K
231本交換
・遮断カーテン新設(外光遮断)
7.当社の「色」管理について【其の三】
CMS準拠による、当社「オリジナルカラーチャート」を作成
・「宣美」独自のカラーチャートにより、各部署での「色」確認を容易にする
・営業展開での「顧客」への技術情報開示による「ブランド力」の構築と信頼
8.当社の「色」管理について【其の四】
定期的な各部署におけるシステム化した維持管理と色認識を継続。(周期:月2回)
・各部署間でのチェックの他に、全部署共通認識でのワークフローの確認開示。